歯磨き粉などのCMで、『歯周病』という言葉を耳にすると思いますが、実際にはどういうものか知っていますか? 厚生労働省が3年ごとに実施している調査で平成29年(2017)のデータによると、「歯肉炎及び歯周疾患」の総患者数(継続的な治療を受けていると推測される患者数)は、398万3千人で、前回の調査よりも66万人以上増加しました。歯周病は日本人の成人の8割がかかっているとされています。 そこで、今回は「歯周病」についてお話していきたいと思います。

歯周病とは?

歯周病は、歯と歯茎の間に繁殖する細菌に感染し、歯の周りの歯茎(歯肉)や歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯周病は進行段階があり、初期段階で歯肉に起こる炎症を「歯肉炎」、重症の歯肉炎であり歯茎の炎症が歯を支える構造にまで広がってしまうのを「歯周炎」と言います。下図は歯周病の進行度をまとめた図になります。

歯肉炎:歯の周りに歯周病菌がつき、入り込むことで歯垢や歯石がたまり始める。それにより歯肉に炎症が起こり、赤みがかる。歯磨きなどちょっとした刺激でも出血しやすくなる。

軽度歯周炎:歯肉の炎症が進み、歯と歯肉の間に深い溝(ポケット)ができる。また、歯茎が赤く腫れ始めた状態である。歯みがき時に出血したり、歯がうずいたりする。

中等度歯周炎:歯槽骨の喪失が増え、歯が動くようになる。また、歯茎がぶよぶよに腫れ、口臭が気になり、ポケットから膿が出たりする。

重度歯周炎(歯槽膿漏):歯槽骨が2/3以上喪失し、歯の根が露出する。歯はグラグラとなり、やがて抜けてしまう。

歯周病の原因

歯周病を引き起こす原因は、細菌の集まりである歯垢(プラーク)です。お口の中には、約400~700種類の細菌が住んでおり、そのほとんどが酸素の少ない場所を好むため歯と歯肉の間にあるポケットと言われる深い溝に潜んでいます。そして、細菌たちが出す毒素によって歯茎が炎症を起こしてしまうのです。

直接的原因は歯垢(プラーク)なのですが、以下は間接的原因を引き起こしてしまう危険因子があります。口腔内環境…①歯磨きが不十分 ②歯並び ③不適合な冠(クラウンなど) ④口腔習癖               ⑤その他:悪い噛み合わせなど生活習慣…①ストレス ②喫煙 ③食習慣 ④睡眠不足             ⑤その他:遺伝、女性ホルモンの影響、肥満、薬の影響など

歯周病の症状
予防方法と対処方法

歯周病の原因にてご説明した通り、お口の中にはたくさんの菌が存在しています。つまり、菌を完全に除去することは不可能なのです。予防するには、自宅にて行うセルフケアと歯科医院で受ける専門的ケアの両立が必要となります。

セルフケア
直接的な原因であるプラークによって歯周病は起こります。そのため、毎日適切なプラークコントロールが予防に繋がります。歯ブラシを使用したブラッシングが基本となりますので、通常の歯磨きと歯ブラシが行き届きにくい歯と歯の間も磨き残しがないようデンタルフロスも併用していきましょう。

専門的ケア(歯科医院)
歯科検診など定期的な歯のメンテナンスを受けることで早期発見に繋がります。通常のブラッシングで取り除くことが困難な歯石(プラークの石灰化)は強固に付着するため、このようにセルフケアでも難しいものは歯科医院にてクリーニングし徹底的に除去する必要があります。

症状があった場合
歯周病の症状に心当たりがありましたら、お気軽に当院へご相談くださいませ。